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2009/10/29 (Thu)
ラベンダー 前編
「お前とザラ家の御曹司との結婚が決まったよ、キラ」
父のユーレン・ヒビキは「すまない」と苦しそうに呟いて、キラの白く細い手を握った。
キラの足下ががらがらと音を立てて崩れていく。
ユーレンに握り締められた自分の手をキラは無言で見つめた。否、言葉を失ったと言ったほうが正しいだろうか。
『迎えに行く』と言った初恋の少年――アレックス・ディノとの約束は、これで永久に失われたことをキラは悟った。
ヒビキ家は公家の流れを汲み、伯爵位を賜ってはいるが、その経済状況は芳しいとは言い難かった。要するに貧乏なのだ。
爵位があるといっても働かなくては食べていけない。特に華族という人種は体裁を気にする傾向があり、外見だけは良く見せようとやたらとお金だけは使う。
それはキラの家も例外ではなく、事実、ヒビキ家の屋敷は外観だけは立派だが、一歩中に踏み入れば襖や障子は破れてできた穴を塞ぐためにつぎはぎだらけの状態だった。
父の父――つまりキラの祖父の時代までは伯爵位に相応しい財産と経済力があったそうなのだが、ユーレンが爵位を継いでからはあっという間に火の車になったという。元々、学者肌で経営の才能がないユーレンに爵位を継がせるのは到底無理な相談で、ユーレンが祖父から受け継いだ会社は今や倒産寸前にまで追い込まれていた。
そんなとき、ユーレンに資金援助の話を持ち掛けたのが、ザラ家だった。
ザラ家と言えば先々代が金融業で生業を立て、その後、炭鉱を所有するようになり、現会長のパトリックが不動産業や貿易業などで莫大な資産を得て財閥へと伸し上がった、いわば成り上がりであった。
財界の頂点に君臨するザラ家からの資金援助の条件が『ヒビキ伯爵家の二女、キラをザラ家の一人息子に嫁がせること』だったのだ。
膨大な財産を持った一般市民が次に家柄を得ようとするのは当然で、例え寂びれていようとも『伯爵』という地位はそれだけ魅力的なのだ。
ヒビキ伯爵家には二人の息女がいた。
明朗な性格で伯爵令嬢だというのに気取ったところのない長女のカガリと、大人しく穏やかで儚い印象を受ける二つ年下の二女のキラ。特にキラは生まれつき体が弱いせいで社交の場にあまり姿を見せることがなく、華族や資産家の子息の間では『深窓の令嬢』や『朧月姫』と囁かれるほど美しい少女だった。
ユーレンも二度目の出産後、間もなく亡くなった最愛の妻であるヴィアに生き写しのキラを溺愛しており、今回の縁談は我が身を切られる思いだったに違いなかった。しかし、カガリにはヒビキ伯爵家を継ぐ重大な責務があり、すでに幼少の頃より決められた許婚もいる。
これまではキラの縁談を体が弱いことを理由に断ってきたユーレンだったが、伯爵家の存続のためには背に腹は代えられなかったことは言うまでもない。
ザラ家は伝統と格式を重んじる華族からは厭われる存在ではあったが、毎日毎晩、遅くまで資金繰りに奔走しいてる父の姿を見続けてきたキラには我が侭を言うことができなかった。
華族の子どもとして生まれたからには、その高貴なる血筋を絶やすことは許されない。恋愛の末の結婚など稀であり、殆どの者は華族同士の絆をより強固なものにするため政略的な結婚を余儀なくされる。ユーレンとヴィアのように夫婦となってから愛情を育む夫婦もいるが、中には表向きはおしどり夫婦を装い、内情は冷え切った関係だというのも珍しくない。
キラとて伯爵家の娘として生まれた以上、そうなる運命にあることは分かっていた。いつまでも幼い頃の約束に縋っていられるほど無知ではないのだ。
キラはその日、初恋の少年の思い出に別れを告げ、静かに涙を流した。
ザラ家の御曹司との見合い当日、キラは母の形見でもある椿模様の着物に袖を通した。
見合いと言っても要は顔合わせのようなものだ。結婚することはすでに決定しているのだが、形式だけはきちんとしておこうということになったらしい。
キラはこの日までに結婚相手の略歴を覚えさせられた。
夫となるアスラン・ザラはキラより二つ年上で、姉のカガリと同じ歳だった。
彼はひどく優秀な人物で十五歳から二年間、単身ドイツへ留学し、帰国したのは半年前のこと。今では十七歳の若さで、財閥の経営を手伝っているというのだからキラは驚いた。甘やかされて育った華族の子息たちとは明らかに違う人種のようだ。
キラは迎えに来たザラ家の車に叔母のカリダと乗り込んだ。
カリダは母の妹でアスハ侯爵家の出身だが、現在はヤマト子爵家へ嫁いでいる。今回はザラ婦人と親しい間柄ということで忙しいユーレンの代わって、キラの付き添いをしてくれることになっていた。
見合いの席はザラ財閥が経営するホテルで、フロントで名前を告げるとボーイがホテルの一室へ案内してくれた。そこは最上階のスイートルームで、他の部屋とは違う豪奢な造りの扉にキラの緊張感は否応なしに高まっていく。
開かれた扉の向こうに立っていたのは、カリダと同じ年代の綺麗な女性だった。その容貌が初恋の少年に似ていて、キラはどきりと心臓を高鳴らせた。
「はじめまして、キラ・ヒビキと申します」
緊張で震える声を誤魔化しながら頭を下げるキラに、レノアは顔を綻ばせた。
「はじめまして、レノア・ザラです。――とは言っても、貴女と会うのは初めてではない気がするわね。貴女のことを良く聞いていたからかしら」
「え……?」
何のことを言われているのかわからず、キラはぽかんと彼女を凝視した。
レノアの笑みがますます深くなる。
「まぁ、可愛い。私、こんな娘が欲しかったのよ」
ぎゅっと抱き締められて、キラの脳は事態の変化に対応しきれず真っ白になった――と、その時。
「母上、私の妻となる人を、私の許可なく勝手に抱き締めないでください」
レノアの背後から苛立ちを含んだ声が響いた。レノアはあっさりとキラを解放し、後ろを振り返る。
「あら、私の義理の娘になるのよ。少しくらい良いじゃない」
「良くありません。減りますから止めていただきたい」
「心の狭い男は嫌われるわよ?」
カリダはその様子をくすくすと笑いながら見ているが、キラは展開の早さに頭がついていかない。
「それよりも、早く私を紹介していただけないでしょうか」
「あ、そうだったわね」
今頃気付いたとばかりにぽんっと手を打って、レノアはキラの背を押した。
開けた視界に映った青年の姿を見て、キラは目を瞠った。
「――え……う、そ……」
キラが思わず口元を押さえると、青年は眩しそうに目を細めた。
「久しぶりだね、キラ」
キラの脳裡に初恋の少年の顔が浮かぶ。
丸みのあった頬は細くなっているし、身長だってだいぶ伸びたようだが、手触りの良い宵闇色の髪も綺麗な翡翠の瞳もキラの記憶にある少年と同じだった。
「……アレ…ックス……?」
「そうだよ」
青年はあの頃と何ら変わらない笑顔でキラを見つめた。
目の前の青年はアスラン・ザラのはずなのにアレックスだと言う。
キラは混乱した。
「でも……私の結婚相手はアスラン・ザラって……」
「うん、アスラン・ザラが俺の本名。あの頃は祖父の後継者問題で一族の間に争いが絶えなくて、命を狙われる危険性もあったから、俺はアレックス・ディノと名乗って、母と一緒にあの場所に避難した」
だから、キラにも本名を明かせなかったと青年――アスランは悲痛な表情で真実を告げ、キラに頭を下げた。
キラは何も言えなくなってしまった。
一度は諦めかけた恋――。
しかし、初恋の少年は誓いの言葉通り、キラを迎えに来てくれた。
キラの瞼に涙が溢れる。それは頬を伝って止め処なく滴り落ちた。キラは込み上げる嗚咽を隠すように口元を押さえた。零れる涙の理由がわからなかった。初恋を失いかけたあのときの悲しみを思い出したせいなのか、成長した彼を見たことへの驚きなのか、それとも約束通り迎えに来てくれたことに対する嬉しさなのか。ただどれだけ頑張って止めようとしても、次々に溢れる涙がアスランの姿を歪ませた。
「キラッ!」
アスランはキラに駆け寄ると、逞しくなった両腕で華奢な体を抱き締めた。
キラの指通りの良い髪を撫でながら、アスランは苦笑した。
「相変わらず泣き虫だな」
「……誰……のせいだと…思ってるの……?」
「俺のせいだね」
拗ねるキラに、アスランはどことなく楽しそうにそう答えた。
いつのまにかレノアとカリダの消え、二人きりになった部屋でアスランはキラの肩を抱いて奥にあるソファに座らせると、徐にその足下に肩膝を突いた。
何事かと驚くキラを無視して、アスランは背広のポケットからスウェードの小さな白い箱を取り出して手の平に乗せた。それから、ふたを開けてキラに差し出す。
「指輪……?」
「そう、西洋では婚約の証として男性が女性に指輪を贈る風習があるんだ」
アスランは箱から指輪を抜き、キラの白魚のような左手を取って薬指に嵌めた。キラは右手で胸元を押さえながら、その様子を不思議そうに見ている。
「良かった。ぴったりだ――なんてね。本当はヒビキ家御用達の宝石店でキラの指のサイズを確認したんだけど」
悪戯が成功した子どものようにそう言ったアスランの言葉も、キラの耳には届いていなかった。
キラは左手の薬指に輝く指輪を穴が空くほど見つめた。
プラチナのリングにアスランの瞳と同じ色の宝石が埋められたそれ。
「エメラルド」
「え……?」
「キラの誕生石だよ。気に入らなかった?」
キラはふるふると首を横に振った。
「ちが……うれし…の……」
「あぁ、もう。ほら、おいで」
涙の止め方を忘れてしまったキラは、アスランの広げた両腕に迷わず飛び込んだ。キラの細い腕がアスランの首に縋り付く。震える背中を宥めるようにさすりながら、アスランはキラの耳元に囁いた。
「結婚しよう、キラ」
キラはアスランの肩に顔を押し付けて、何度も何度も頷いたのだった。
あの再会の日以来、キラはアスランから贈られた婚約指輪を飽くことなく眺めては、思い出したように頬を染める生活を送っていた。
幸せだった。愛する人と添い遂げることが難しい華族の世界で、キラは幸運にもアスランと共にこれからの人生を歩んでいくことができるのだ。
来月には結納をして、その二ヵ月後には結婚式を挙げる予定になっている。
急すぎるほどの日程は、長く離れて生きてきた二人の一日でも早く一緒に暮らしたいと願う気持ちの表れでもあった。
ユーレンはアスランがキラの長年の想い人だと、不幸な婚姻ではなかったのだと知って手放しで喜んでくれた。しかし、結婚までの日が浅いことをユーレンは憂いた。愛する娘を嫁に出す悲しみはもちろんだが、何より持参金も出すことのできない現状に父親として不甲斐ないと言って。
ザラ家でもヒビキ家の台所事情を知っているせいか、気にすることはないと言ってくれたのだが、それでもユーレンは大切にしていたヴィアの着物や装飾品の一部を処分して、僅かではあるがキラの持参金に充ててくれた。
キラは父の、自分に対する愛情の深さを改めて痛感した。
幸せにならなければいけないと思った。
無償の愛を注いでくれる父と、天国で見守ってくれている母のためにも……。
だから、三ヵ月後に訪れるであろう幸福な未来を指折り数えて待つキラは気付けなかった。その幸せが、他の誰かを傷つけている事実を。
その日、思い詰めた表情で部屋を訪れたカガリを、キラは不審に思いながらも笑顔で出迎えた。
いつものように椅子を勧めるが、カガリが座る気配はない。
「お姉さま、どうしたの?」
様子のおかしいカガリの傍に近寄ると、彼女は突然頭を深く下げた。
「キラッ、すまない。お願いだから、アスランとの婚約を破棄してくれ!」
「――お姉さま、一体どうしてっ……」
キラはカガリの行動の意味を掴み兼ねていた。アスランとの結婚を報告したとき、カガリはおめでとうと祝福してくれたはずなのに。
「お前はパーティにあまり顔を出さないから知らないだろうが、アスランは社交界じゃ有名で女にすごく人気があるんだ。三年前に出遭ったときから私はずっとあいつが好きだった。キラから結婚の話を聞いて一度は諦めようと思ったけど、やはりそれはできそうにない。家のための結婚なら、お前じゃなくたって私でも良いはずだ。お願いだから、あいつを私にくれっ!」
キラはカガリの金色の髪を呆然と見つめていた。
足ががくがくと震える。
「……何…言ってるの……? ヒビキの家は……許婚は……?」
「頼む。一生のお願いだっ!!」
プライドをかなぐり捨て必死に頼み込むカガリを前に、キラは胸元で震える両手をぐっと握り締めた。右の手の平にアスランから貰った愛の証を感じた。
「……駄目……」
「キラ……?」
明るくて天真爛漫で誰からも好かれるカガリはキラの自慢だった。
病気で伏せがちなキラをいつも心配してくれて、いつも労わってくれた。
その姉の願いだ。本当ならば叶えてやりたいと思う。
でも、キラとて幼い頃の約束を胸にずっと耐え忍んできたのだ。
この恋だけは――アスランだけは絶対に譲れなかった。
声が震えそうになるのをぐっと気力で抑えて、キラは意を決してカガリを見つめた。
「お姉さま、それだけはできないの」
「どうしてっ!? お前が一言、婚約を白紙にしたいと言えばっ」
「私はアスランを愛してるし、彼もまた私を……。子どもの頃に出遭ってから私もアスランもずっと待ち続けて、やっと二人の願いが叶おうとしてるの。お姉さまが言うような『家のための結婚』だけでは決してないから。だから、これだけは譲れない。それに、あげるとか貰うとか……アスランはモノじゃ」
ない、と続けようとした言葉は突然走った左頬の痛みに消されてしまった。
じんじんと熱を持つ頬にキラは手を添えて、カガリを見た。振り下ろされた彼女の右手を目にして、初めてキラは叩かれたのだと理解した。
「……なんで…お前だけ……っ」
憎悪の篭ったカガリの眼が向けられ、キラは戦慄した。
「……お…姉さま……?」
「なんでキラばかりが愛されるんだ、お父様にも……あいつにも……。お前さえいなければ、お父様もあいつも私を愛してくれたはずだ。どうせあいつの子どもも産めないくせに。お母さまだって、きっと死なずにすんだかもしれない。キラなんて生まれてこなければ良かったんだ!」
キラは愕然とした。
血の気が引いていくと共に、目の前が真っ暗になる。何も考えられなかった。ただ、カガリの鋭い刃のような言葉だけがキラの心に突き刺さった。
「――ごめ……なさい……っ…」
キラはわななく唇を押さえて、そのまま屋敷を飛び出した。カガリの傍にいることが耐えられなかったのだ。
キラは行く当てもなく彷徨っていた。
家を飛び出した直後に降り出した雨に全身ずぶ濡れになっても、キラにはどうでもいいことだった。
実の姉から向けられた言葉は、繊細なキラの心を切り裂いた。
カガリは父親の愛情がキラだけに注がれてることに傷付きながら、病気がちな妹のためにずっと我慢していたに違いない。姉の優しさに甘えて、キラはそれに気付けなかった。
深い後悔がキラに押し寄せる。
優しかったカガリに、あんなことを言わせてしまった。
雨の中を傘も差さずに歩く少女を、周囲は不審な者を見るような目を向けた。しかし、それさえも気付かないほどキラは憔悴していた。
込み上げる嗚咽はすでに抑え切れなくなっていて、焼け付くように熱を持った瞼からはぽろぽろと大粒の涙が雨と共に流れた。
憎しみの篭ったカガリの眼差しを思い出し、キラはその場に崩れ落ちた。
「……ごめんなさい……お姉さまぁ……」
キラの嗚咽は、次第に激しくなる雨音に掻き消された。
「キラ……?」
不意に呼ばれて、キラは顔をくしゃくしゃにしたまま上を見上げた。体を打ち付けていた雨は、いつのまにかなくなっていた。
「やっぱりそうだ」
傘を差したアスランがキラを見下ろしていた。
ぱらぱらと傘を打つ雨音が二人を包んだ。
「何してるんだ。ずぶ濡れじゃないか」
アスランは眉を顰めながら、仕立ての良い背広の上着を脱ぐとキラの肩に羽織らせた。
「ほら、早くこっちへ」
キラを立たせて肩を抱き寄せ、車道に止めてあった車にキラを押し込んだ。その後ろからアスランも乗り込み、「ヒビキ伯爵のお屋敷へ」と運転手に告げる。
アスランは自分が濡れるのも構わず、がくがくと震えるキラを抱き締めた。ゆっくり背中をさすって、キラの冷えた体を温めた。
「こんな恰好で傘も差さずに何してたんだ」
キラは縋りつくようにアスランのワイシャツの袖を握った。
「……アスラン……」
「ん、なに?」
「お願い……婚約を解消して……」
アスランの胸元に顔を伏せたまま、キラは懇願した。
優しい姉を取り戻したかった。彼女はあんな負の感情を滲ませていいはずの人間ではない。
「――キラ……何、言って……」
「お願い。お願いだから……」
アスランの驚いたような声が聞こえる。体を引き離され、顔を覗き込まれた。
戸惑いの色を浮かべたアスランの瞳を目にしたとき、キラの意識は薄れていった。
「キラ……? ――――キラッ!」
アスランが自分を呼ぶ声を、キラは意識の向こうで聞いていた。
たった一人の姉に疎まれて生きていくくらいなら、このままこの世から消えてしまいたいとキラは願った――――。
遠い日のあの約束を、貴方はまだ覚えていますか?
少女は故郷から遠く離れた地で少年に出遭った。
生まれつき体の弱い少女は療養を理由に、少年は母親と保養を兼ねてこの地を訪れていた。
二人は少年が帰郷するまでの数ヶ月間を共に過ごした。そして帰郷するその日、少年は別れを惜しんで泣きじゃくる少女の手を取って約束の言葉を口にした。
――――誰よりも強くなって君を護れるようになったら迎えに行くよ、と。
少女の柔らかな頬に誓いの口づけを贈って、少年は故郷へと帰って行った。
その一年後、少女もまた約束の言葉を胸に秘め、故郷へ帰ることとなる。
少女は故郷から遠く離れた地で少年に出遭った。
生まれつき体の弱い少女は療養を理由に、少年は母親と保養を兼ねてこの地を訪れていた。
二人は少年が帰郷するまでの数ヶ月間を共に過ごした。そして帰郷するその日、少年は別れを惜しんで泣きじゃくる少女の手を取って約束の言葉を口にした。
――――誰よりも強くなって君を護れるようになったら迎えに行くよ、と。
少女の柔らかな頬に誓いの口づけを贈って、少年は故郷へと帰って行った。
その一年後、少女もまた約束の言葉を胸に秘め、故郷へ帰ることとなる。
ラベンダー 前編
「お前とザラ家の御曹司との結婚が決まったよ、キラ」
父のユーレン・ヒビキは「すまない」と苦しそうに呟いて、キラの白く細い手を握った。
キラの足下ががらがらと音を立てて崩れていく。
ユーレンに握り締められた自分の手をキラは無言で見つめた。否、言葉を失ったと言ったほうが正しいだろうか。
『迎えに行く』と言った初恋の少年――アレックス・ディノとの約束は、これで永久に失われたことをキラは悟った。
ヒビキ家は公家の流れを汲み、伯爵位を賜ってはいるが、その経済状況は芳しいとは言い難かった。要するに貧乏なのだ。
爵位があるといっても働かなくては食べていけない。特に華族という人種は体裁を気にする傾向があり、外見だけは良く見せようとやたらとお金だけは使う。
それはキラの家も例外ではなく、事実、ヒビキ家の屋敷は外観だけは立派だが、一歩中に踏み入れば襖や障子は破れてできた穴を塞ぐためにつぎはぎだらけの状態だった。
父の父――つまりキラの祖父の時代までは伯爵位に相応しい財産と経済力があったそうなのだが、ユーレンが爵位を継いでからはあっという間に火の車になったという。元々、学者肌で経営の才能がないユーレンに爵位を継がせるのは到底無理な相談で、ユーレンが祖父から受け継いだ会社は今や倒産寸前にまで追い込まれていた。
そんなとき、ユーレンに資金援助の話を持ち掛けたのが、ザラ家だった。
ザラ家と言えば先々代が金融業で生業を立て、その後、炭鉱を所有するようになり、現会長のパトリックが不動産業や貿易業などで莫大な資産を得て財閥へと伸し上がった、いわば成り上がりであった。
財界の頂点に君臨するザラ家からの資金援助の条件が『ヒビキ伯爵家の二女、キラをザラ家の一人息子に嫁がせること』だったのだ。
膨大な財産を持った一般市民が次に家柄を得ようとするのは当然で、例え寂びれていようとも『伯爵』という地位はそれだけ魅力的なのだ。
ヒビキ伯爵家には二人の息女がいた。
明朗な性格で伯爵令嬢だというのに気取ったところのない長女のカガリと、大人しく穏やかで儚い印象を受ける二つ年下の二女のキラ。特にキラは生まれつき体が弱いせいで社交の場にあまり姿を見せることがなく、華族や資産家の子息の間では『深窓の令嬢』や『朧月姫』と囁かれるほど美しい少女だった。
ユーレンも二度目の出産後、間もなく亡くなった最愛の妻であるヴィアに生き写しのキラを溺愛しており、今回の縁談は我が身を切られる思いだったに違いなかった。しかし、カガリにはヒビキ伯爵家を継ぐ重大な責務があり、すでに幼少の頃より決められた許婚もいる。
これまではキラの縁談を体が弱いことを理由に断ってきたユーレンだったが、伯爵家の存続のためには背に腹は代えられなかったことは言うまでもない。
ザラ家は伝統と格式を重んじる華族からは厭われる存在ではあったが、毎日毎晩、遅くまで資金繰りに奔走しいてる父の姿を見続けてきたキラには我が侭を言うことができなかった。
華族の子どもとして生まれたからには、その高貴なる血筋を絶やすことは許されない。恋愛の末の結婚など稀であり、殆どの者は華族同士の絆をより強固なものにするため政略的な結婚を余儀なくされる。ユーレンとヴィアのように夫婦となってから愛情を育む夫婦もいるが、中には表向きはおしどり夫婦を装い、内情は冷え切った関係だというのも珍しくない。
キラとて伯爵家の娘として生まれた以上、そうなる運命にあることは分かっていた。いつまでも幼い頃の約束に縋っていられるほど無知ではないのだ。
キラはその日、初恋の少年の思い出に別れを告げ、静かに涙を流した。
ザラ家の御曹司との見合い当日、キラは母の形見でもある椿模様の着物に袖を通した。
見合いと言っても要は顔合わせのようなものだ。結婚することはすでに決定しているのだが、形式だけはきちんとしておこうということになったらしい。
キラはこの日までに結婚相手の略歴を覚えさせられた。
夫となるアスラン・ザラはキラより二つ年上で、姉のカガリと同じ歳だった。
彼はひどく優秀な人物で十五歳から二年間、単身ドイツへ留学し、帰国したのは半年前のこと。今では十七歳の若さで、財閥の経営を手伝っているというのだからキラは驚いた。甘やかされて育った華族の子息たちとは明らかに違う人種のようだ。
キラは迎えに来たザラ家の車に叔母のカリダと乗り込んだ。
カリダは母の妹でアスハ侯爵家の出身だが、現在はヤマト子爵家へ嫁いでいる。今回はザラ婦人と親しい間柄ということで忙しいユーレンの代わって、キラの付き添いをしてくれることになっていた。
見合いの席はザラ財閥が経営するホテルで、フロントで名前を告げるとボーイがホテルの一室へ案内してくれた。そこは最上階のスイートルームで、他の部屋とは違う豪奢な造りの扉にキラの緊張感は否応なしに高まっていく。
開かれた扉の向こうに立っていたのは、カリダと同じ年代の綺麗な女性だった。その容貌が初恋の少年に似ていて、キラはどきりと心臓を高鳴らせた。
「はじめまして、キラ・ヒビキと申します」
緊張で震える声を誤魔化しながら頭を下げるキラに、レノアは顔を綻ばせた。
「はじめまして、レノア・ザラです。――とは言っても、貴女と会うのは初めてではない気がするわね。貴女のことを良く聞いていたからかしら」
「え……?」
何のことを言われているのかわからず、キラはぽかんと彼女を凝視した。
レノアの笑みがますます深くなる。
「まぁ、可愛い。私、こんな娘が欲しかったのよ」
ぎゅっと抱き締められて、キラの脳は事態の変化に対応しきれず真っ白になった――と、その時。
「母上、私の妻となる人を、私の許可なく勝手に抱き締めないでください」
レノアの背後から苛立ちを含んだ声が響いた。レノアはあっさりとキラを解放し、後ろを振り返る。
「あら、私の義理の娘になるのよ。少しくらい良いじゃない」
「良くありません。減りますから止めていただきたい」
「心の狭い男は嫌われるわよ?」
カリダはその様子をくすくすと笑いながら見ているが、キラは展開の早さに頭がついていかない。
「それよりも、早く私を紹介していただけないでしょうか」
「あ、そうだったわね」
今頃気付いたとばかりにぽんっと手を打って、レノアはキラの背を押した。
開けた視界に映った青年の姿を見て、キラは目を瞠った。
「――え……う、そ……」
キラが思わず口元を押さえると、青年は眩しそうに目を細めた。
「久しぶりだね、キラ」
キラの脳裡に初恋の少年の顔が浮かぶ。
丸みのあった頬は細くなっているし、身長だってだいぶ伸びたようだが、手触りの良い宵闇色の髪も綺麗な翡翠の瞳もキラの記憶にある少年と同じだった。
「……アレ…ックス……?」
「そうだよ」
青年はあの頃と何ら変わらない笑顔でキラを見つめた。
目の前の青年はアスラン・ザラのはずなのにアレックスだと言う。
キラは混乱した。
「でも……私の結婚相手はアスラン・ザラって……」
「うん、アスラン・ザラが俺の本名。あの頃は祖父の後継者問題で一族の間に争いが絶えなくて、命を狙われる危険性もあったから、俺はアレックス・ディノと名乗って、母と一緒にあの場所に避難した」
だから、キラにも本名を明かせなかったと青年――アスランは悲痛な表情で真実を告げ、キラに頭を下げた。
キラは何も言えなくなってしまった。
一度は諦めかけた恋――。
しかし、初恋の少年は誓いの言葉通り、キラを迎えに来てくれた。
キラの瞼に涙が溢れる。それは頬を伝って止め処なく滴り落ちた。キラは込み上げる嗚咽を隠すように口元を押さえた。零れる涙の理由がわからなかった。初恋を失いかけたあのときの悲しみを思い出したせいなのか、成長した彼を見たことへの驚きなのか、それとも約束通り迎えに来てくれたことに対する嬉しさなのか。ただどれだけ頑張って止めようとしても、次々に溢れる涙がアスランの姿を歪ませた。
「キラッ!」
アスランはキラに駆け寄ると、逞しくなった両腕で華奢な体を抱き締めた。
キラの指通りの良い髪を撫でながら、アスランは苦笑した。
「相変わらず泣き虫だな」
「……誰……のせいだと…思ってるの……?」
「俺のせいだね」
拗ねるキラに、アスランはどことなく楽しそうにそう答えた。
いつのまにかレノアとカリダの消え、二人きりになった部屋でアスランはキラの肩を抱いて奥にあるソファに座らせると、徐にその足下に肩膝を突いた。
何事かと驚くキラを無視して、アスランは背広のポケットからスウェードの小さな白い箱を取り出して手の平に乗せた。それから、ふたを開けてキラに差し出す。
「指輪……?」
「そう、西洋では婚約の証として男性が女性に指輪を贈る風習があるんだ」
アスランは箱から指輪を抜き、キラの白魚のような左手を取って薬指に嵌めた。キラは右手で胸元を押さえながら、その様子を不思議そうに見ている。
「良かった。ぴったりだ――なんてね。本当はヒビキ家御用達の宝石店でキラの指のサイズを確認したんだけど」
悪戯が成功した子どものようにそう言ったアスランの言葉も、キラの耳には届いていなかった。
キラは左手の薬指に輝く指輪を穴が空くほど見つめた。
プラチナのリングにアスランの瞳と同じ色の宝石が埋められたそれ。
「エメラルド」
「え……?」
「キラの誕生石だよ。気に入らなかった?」
キラはふるふると首を横に振った。
「ちが……うれし…の……」
「あぁ、もう。ほら、おいで」
涙の止め方を忘れてしまったキラは、アスランの広げた両腕に迷わず飛び込んだ。キラの細い腕がアスランの首に縋り付く。震える背中を宥めるようにさすりながら、アスランはキラの耳元に囁いた。
「結婚しよう、キラ」
キラはアスランの肩に顔を押し付けて、何度も何度も頷いたのだった。
あの再会の日以来、キラはアスランから贈られた婚約指輪を飽くことなく眺めては、思い出したように頬を染める生活を送っていた。
幸せだった。愛する人と添い遂げることが難しい華族の世界で、キラは幸運にもアスランと共にこれからの人生を歩んでいくことができるのだ。
来月には結納をして、その二ヵ月後には結婚式を挙げる予定になっている。
急すぎるほどの日程は、長く離れて生きてきた二人の一日でも早く一緒に暮らしたいと願う気持ちの表れでもあった。
ユーレンはアスランがキラの長年の想い人だと、不幸な婚姻ではなかったのだと知って手放しで喜んでくれた。しかし、結婚までの日が浅いことをユーレンは憂いた。愛する娘を嫁に出す悲しみはもちろんだが、何より持参金も出すことのできない現状に父親として不甲斐ないと言って。
ザラ家でもヒビキ家の台所事情を知っているせいか、気にすることはないと言ってくれたのだが、それでもユーレンは大切にしていたヴィアの着物や装飾品の一部を処分して、僅かではあるがキラの持参金に充ててくれた。
キラは父の、自分に対する愛情の深さを改めて痛感した。
幸せにならなければいけないと思った。
無償の愛を注いでくれる父と、天国で見守ってくれている母のためにも……。
だから、三ヵ月後に訪れるであろう幸福な未来を指折り数えて待つキラは気付けなかった。その幸せが、他の誰かを傷つけている事実を。
その日、思い詰めた表情で部屋を訪れたカガリを、キラは不審に思いながらも笑顔で出迎えた。
いつものように椅子を勧めるが、カガリが座る気配はない。
「お姉さま、どうしたの?」
様子のおかしいカガリの傍に近寄ると、彼女は突然頭を深く下げた。
「キラッ、すまない。お願いだから、アスランとの婚約を破棄してくれ!」
「――お姉さま、一体どうしてっ……」
キラはカガリの行動の意味を掴み兼ねていた。アスランとの結婚を報告したとき、カガリはおめでとうと祝福してくれたはずなのに。
「お前はパーティにあまり顔を出さないから知らないだろうが、アスランは社交界じゃ有名で女にすごく人気があるんだ。三年前に出遭ったときから私はずっとあいつが好きだった。キラから結婚の話を聞いて一度は諦めようと思ったけど、やはりそれはできそうにない。家のための結婚なら、お前じゃなくたって私でも良いはずだ。お願いだから、あいつを私にくれっ!」
キラはカガリの金色の髪を呆然と見つめていた。
足ががくがくと震える。
「……何…言ってるの……? ヒビキの家は……許婚は……?」
「頼む。一生のお願いだっ!!」
プライドをかなぐり捨て必死に頼み込むカガリを前に、キラは胸元で震える両手をぐっと握り締めた。右の手の平にアスランから貰った愛の証を感じた。
「……駄目……」
「キラ……?」
明るくて天真爛漫で誰からも好かれるカガリはキラの自慢だった。
病気で伏せがちなキラをいつも心配してくれて、いつも労わってくれた。
その姉の願いだ。本当ならば叶えてやりたいと思う。
でも、キラとて幼い頃の約束を胸にずっと耐え忍んできたのだ。
この恋だけは――アスランだけは絶対に譲れなかった。
声が震えそうになるのをぐっと気力で抑えて、キラは意を決してカガリを見つめた。
「お姉さま、それだけはできないの」
「どうしてっ!? お前が一言、婚約を白紙にしたいと言えばっ」
「私はアスランを愛してるし、彼もまた私を……。子どもの頃に出遭ってから私もアスランもずっと待ち続けて、やっと二人の願いが叶おうとしてるの。お姉さまが言うような『家のための結婚』だけでは決してないから。だから、これだけは譲れない。それに、あげるとか貰うとか……アスランはモノじゃ」
ない、と続けようとした言葉は突然走った左頬の痛みに消されてしまった。
じんじんと熱を持つ頬にキラは手を添えて、カガリを見た。振り下ろされた彼女の右手を目にして、初めてキラは叩かれたのだと理解した。
「……なんで…お前だけ……っ」
憎悪の篭ったカガリの眼が向けられ、キラは戦慄した。
「……お…姉さま……?」
「なんでキラばかりが愛されるんだ、お父様にも……あいつにも……。お前さえいなければ、お父様もあいつも私を愛してくれたはずだ。どうせあいつの子どもも産めないくせに。お母さまだって、きっと死なずにすんだかもしれない。キラなんて生まれてこなければ良かったんだ!」
キラは愕然とした。
血の気が引いていくと共に、目の前が真っ暗になる。何も考えられなかった。ただ、カガリの鋭い刃のような言葉だけがキラの心に突き刺さった。
「――ごめ……なさい……っ…」
キラはわななく唇を押さえて、そのまま屋敷を飛び出した。カガリの傍にいることが耐えられなかったのだ。
キラは行く当てもなく彷徨っていた。
家を飛び出した直後に降り出した雨に全身ずぶ濡れになっても、キラにはどうでもいいことだった。
実の姉から向けられた言葉は、繊細なキラの心を切り裂いた。
カガリは父親の愛情がキラだけに注がれてることに傷付きながら、病気がちな妹のためにずっと我慢していたに違いない。姉の優しさに甘えて、キラはそれに気付けなかった。
深い後悔がキラに押し寄せる。
優しかったカガリに、あんなことを言わせてしまった。
雨の中を傘も差さずに歩く少女を、周囲は不審な者を見るような目を向けた。しかし、それさえも気付かないほどキラは憔悴していた。
込み上げる嗚咽はすでに抑え切れなくなっていて、焼け付くように熱を持った瞼からはぽろぽろと大粒の涙が雨と共に流れた。
憎しみの篭ったカガリの眼差しを思い出し、キラはその場に崩れ落ちた。
「……ごめんなさい……お姉さまぁ……」
キラの嗚咽は、次第に激しくなる雨音に掻き消された。
「キラ……?」
不意に呼ばれて、キラは顔をくしゃくしゃにしたまま上を見上げた。体を打ち付けていた雨は、いつのまにかなくなっていた。
「やっぱりそうだ」
傘を差したアスランがキラを見下ろしていた。
ぱらぱらと傘を打つ雨音が二人を包んだ。
「何してるんだ。ずぶ濡れじゃないか」
アスランは眉を顰めながら、仕立ての良い背広の上着を脱ぐとキラの肩に羽織らせた。
「ほら、早くこっちへ」
キラを立たせて肩を抱き寄せ、車道に止めてあった車にキラを押し込んだ。その後ろからアスランも乗り込み、「ヒビキ伯爵のお屋敷へ」と運転手に告げる。
アスランは自分が濡れるのも構わず、がくがくと震えるキラを抱き締めた。ゆっくり背中をさすって、キラの冷えた体を温めた。
「こんな恰好で傘も差さずに何してたんだ」
キラは縋りつくようにアスランのワイシャツの袖を握った。
「……アスラン……」
「ん、なに?」
「お願い……婚約を解消して……」
アスランの胸元に顔を伏せたまま、キラは懇願した。
優しい姉を取り戻したかった。彼女はあんな負の感情を滲ませていいはずの人間ではない。
「――キラ……何、言って……」
「お願い。お願いだから……」
アスランの驚いたような声が聞こえる。体を引き離され、顔を覗き込まれた。
戸惑いの色を浮かべたアスランの瞳を目にしたとき、キラの意識は薄れていった。
「キラ……? ――――キラッ!」
アスランが自分を呼ぶ声を、キラは意識の向こうで聞いていた。
たった一人の姉に疎まれて生きていくくらいなら、このままこの世から消えてしまいたいとキラは願った――――。
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神里 美羽
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女性
趣味:
読書・カラオケ・妄想
自己紹介:
日々、アスキラとロク刹の妄想に精を出す腐女子です。
ロク刹は年の差カッポー好きの神里のツボを激しく突きまくりで、最早、瀕死状態。
アスキラはキラが可愛ければ何でもオッケーで、アスランはそんなキラを甘やかしてればいいと思います。
そんな私ですが、末永くお付き合いください。
ロク刹は年の差カッポー好きの神里のツボを激しく突きまくりで、最早、瀕死状態。
アスキラはキラが可愛ければ何でもオッケーで、アスランはそんなキラを甘やかしてればいいと思います。
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