つい先日、すばらしい本に出逢いました。
まるで、ニル刹を彷彿とさせるような、そんなBL漫画です。
あべ美幸さんの「SUPER LOVERS」という本なんですが。
苦労性で世話焼きの長男・晴(はる)と、無愛想できかん坊な末っ子・零(れん)の話で、22歳と13歳の年齢差や、発育不良で13歳の平均身長よりもちっさい零とでっかい晴の身長差もツボでした。
誰にでも優しい晴や、その晴にしか懐かない零なんてのも完璧にニル刹で、特に零のほうは外見も刹那でした。
興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
そんで今回は、二人が出逢ったのが晴が17歳、零が8歳のときで、ちっさい零に触発されて、思わず作ってしまった作品です。
しかしながら、刹那がちっこくなりすぎました。
LOVEには程遠い、小学生ニールと乳児せっちゅんのハートフルなお話です。
最終的にはシリーズ化して、恋愛にまで発展させたいなぁ……。
せつなといっしょ!
「じゃあ、また後でな!」
マンションの三階でエレベーターから降りると、ニールは同じマンションの五階と六階の部屋に住む幼馴染みのアレルヤとティエリアに声を掛ける。
午後の熱い時間帯を市民プールで過ごしたニールたちは、ニールが一学期の成績が良かったご褒美に両親から買ってもらった最新のゲームソフトで遊ぶ予定だった。
急いで玄関を潜ると、途端に聞き覚えのある泣き声を耳にする。母親のあやす声も聞こえてきて、ニールは濡れた水着の入ったバッグを背負ったままリビングへ直行した。
すると、そこには赤ん坊を抱いた母のリディアがいた。
「――なんで刹那がいるの?」
そのそばに駆け寄って、普段はいるはずのない赤ん坊を覗き込む。
ニールの家の隣に住む若い夫婦の間に、赤ん坊が産まれたのは半年ほど前のことだ。
母親に似た可愛い女の子で、妊娠中からお節介をやきまくっていたリディアに連れられて、“刹那”と名付けられたその子を見たときには、あまりの小ささにビックリした。
恐る恐る指を近づけたら、小さな手に握りしめられて、またまたビックリ。案外力があるんだなぁ、と驚いたけれど。
そのとき、まだ目が見えないはずの赤ん坊がこちらを見て笑った気がして、それ以来、ニールは刹那に夢中だった。
「せっちゃんのお母さんがね、風邪をひいたらしいのよ。旦那さんは出張でいないらしくて。せっちゃんに移ったら大変でしょう? だから、一日二日くらいだったら面倒見るわよ、って預かってきたの」
へぇー、と上の空で頷きながら、刹那に手を伸ばそうとすると、その手をピシャリと叩き落とされた。
「せっちゃんに触りたいなら、まずは手を洗ってらっしゃい!」
「はぁーい」
母親に叱られて、そうだった、と思い出す。
子供は大人に比べると免疫力が弱い。
特に乳幼児は普通の風邪でも酷くなって、死に至ることもあるのだと教えられ、ニールは目の前の小さな命が消えることに恐怖心を覚えたほどだ。
背負っていたカバンをソファに投げ捨てて、洗面台で丁寧に手を洗ってから、またリビングに戻る。
刹那はすでに泣いてはいなかったけれど、まだぐずっていて、リディアに揺すられていた。
「母さん、俺に抱かせて」
差し出した両腕に、ずっしりとした重みが加わる。ほんのりと乳児特有のミルクの匂いがした。
近隣住人のアイドル的存在となった刹那は、ディランディ家でも例外なく人気者で、最初から陥落させられたニールはもとより、双子の弟のライルも、三つ年下の妹のエイミーも刹那にはメロメロだった。当然、ニールの幼馴染みたちも刹那を可愛がっている。
まだ友人の家から帰宅する気配のない弟妹や、遊びにくる予定になっている幼馴染みたちよりも早く、刹那を独り占めできたニールはその嬉しさを隠しきれない。
「せーつなっ」
泣いて真っ赤になった刹那の顔を覗き込むと、ギュッと瞑られたまぶたが開き、緋色の瞳が姿を現した。澄んだ双眸がニールを映し出す。
「どうした? ほら、ニールだぞ」
小さく揺すりながら話しかけると、しばらくニールをじっと見つめていた刹那は「あー」とも「うー」ともつかない言葉を口にしながら、紅葉のような小さな手をこちらに伸ばしてきた。
ニールは迷わず、ふくふくとしたその手を口に咥えて、歯を立てずに唇ではむはむと甘噛みしてやる。すると、さっきまで泣いていたのが嘘のように、キャッキャッと笑い出した。
「あらあら、せっちゃんは本当にニールが大好きなのね」
刹那の顔に残る涙の跡を優しく拭いながら、リディアが苦笑する。
刹那の両親を除けば、刹那に一番懐かれているのは自分だと自負しているニールだが、それでも他人にそう言われて悪い気はしない。
「俺も、刹那が大好きだよ」
へへへっ、と得意満面に笑って、ニールは柔らかな頬にキスをした。
その後、ディランディ家に遊びにきたアレルヤとティエリアや、帰宅したライルとエイミーを交えて、刹那の争奪戦が始まるのだが、騒がしさに驚いて泣き出した刹那を奪還し宥め、周囲から嫉妬の目を向けられたのが、やはりニールだったことは言うまでもない。
ロク刹は年の差カッポー好きの神里のツボを激しく突きまくりで、最早、瀕死状態。
アスキラはキラが可愛ければ何でもオッケーで、アスランはそんなキラを甘やかしてればいいと思います。
そんな私ですが、末永くお付き合いください。